« 今日から2月です | トップページ | 今日は節分 »

蜩の記

葉室麟の「蜩の記」を読みました。この作品は第146回直木賞を受賞しています。

あらすじは豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるようになり……。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間の風景の中に謳い上げる・・・(帯より)

とても面白く読めました。武士道の気高さを、山里の美しい四季折々の情景を織り交ぜながら描いています。なにより武士の潔さをテーマにしているのが特徴的。もちろん計算づくめで生き延びようとする武士も描かれていますが、彼らのおかげで主人公である庄三郎や戸田秋谷の清貧さが引き立つ。読んでいて、負けてしまうのです。登場人物たちがあまりにストイックに生きようとするので、人生経験の少ない、甘っちょろい生き方をしている私編集長のダメさ加減を叱っているようで。

決して勧善懲悪ではないけれど、人生をドラマティックに生きた武士を力強く描いています。気持ちが強い時に、じっくりと読みたい1冊です。同時に発表された芥川賞での、受賞者の強気な発言ばかりがクローズアップされていて(彼の発言は至極もっともだと思いますよ、彼を全面的に応援したいくらい)、実力派の直木賞については置き去りになっているような感じもしますが、葉室麟については当然の受賞と言ってもいいくらい。安定したクオリティーで、楽しめます。

|
|

« 今日から2月です | トップページ | 今日は節分 »

読書感想文」カテゴリの記事

コメント

いつもお世話になっています。
どんどん紹介してください。ほとんど誰も見ないブログですが・・・。
これからも、楽しんでいってください。

投稿: 編集長 | 2012年6月27日 (水) 21時31分

お気に入りに登録させていただきました。
いい内容を更新しているのでもったいないと思いブログ違いで表にでませんが、後ほど紹介させていただいてもいいでしょうか?!

投稿: さっちん | 2012年6月25日 (月) 23時29分

芥川賞の田中さんがマスコミによく取り上げられますが私は葉室さんの人柄のほうが好きです。苦労されているのか謙虚な所。実力がありながら5回目での受賞、本当におめでとうございます。今回受賞出来なかったら次回からは辞退する方針だったとかめでたし、めでたし。

投稿: 天楽 | 2012年3月 7日 (水) 09時32分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 今日から2月です | トップページ | 今日は節分 »